歯周病は遺伝する?/歯磨きの歴史

歯周病は遺伝する? 
 「歯周病は遺伝する」という話を聞いたことがありますか?歯周病になりやすい体質が遺伝する可能性はありますが、一般的に、歯周病そのものは遺伝しません。しかし、特殊なものとして「若年性歯周炎」という歯周病があります。これは、全身的に健康な若者(11~13歳から20代前半)で、永久歯萌出後に、限局的に急速な歯周病が進行するもので、遺伝的な原因が関与していると言われています。
 しかしながら、歯周病発症は遺伝が原因しているのではなく、環境要因・時間要因・病因など様々な原因があります。歯周病は、これらが相互に関連して発症する「多因性疾患」です。歯周病を予防するためには、こまめなブラッシングと歯科医師によるクリーニングをお勧めします。

 家族で似たような生活習慣・食生活を送っていると、口内環境も類似してくるため、もし家族内で誰かが歯周病を発症した場合、他の家族も歯周病を発症してしまうリスクが高い可能性があります。他の家族が歯周病を発症した場合は、遺伝であると思ってしまうかもしれません。
 しかし、遺伝子検査、免疫応答・炎症反応の検査により、歯周病にかかりやすい患者さんがいるという報告もあります。臨床的に、他の要因を完全に取り除いた条件を作り出すのは困難であるため、歯周病と遺伝的要因の関連を解析するのはなかなか困難ですが、徐々に解明されつつあります。


口呼吸と歯周病
 口呼吸が歯周病に関係があると聞いたことはあるでしょうか?実際に、口呼吸は様々な病気をもたらします。通常、歯周病菌などは唾液によって洗浄され、洗い流して歯茎を歯周病から守ることによって、免疫作用を上げています。口呼吸によって唾液が乾燥し、歯周病菌により炎症が起こっている歯茎の部分を唾液で洗浄することができなくなってしまうため、歯周病を進行させる原因になってしまいます。

タバコと歯周病
 一般的に、たばこを吸う人は吸わない人に比べ、約3倍も歯周病にかかりやすく、喫煙本数と比例して歯周病が重症化することも分かっています。なぜタバコが歯周病を悪化させてしまうのでしょうか。その原因は主に4つあります。
①歯周病菌と戦う白血球の機能が低下する
②歯肉に酸素や栄養を供給するのに大切な血管が、タバコのニコチンによって収縮する
③歯肉を修復するために必要な繊維芽細胞の働きが抑制される
④歯と歯肉の境目にある溝の中の酸素が不足し、酸素を嫌う歯周病菌にとって繁殖しやすい環境になる

 それだけでなく、ニコチンによる血管収縮作用により、出血や炎症が起こりにくくなってしまうため、歯周病になっていても気づかない場合があります。さらに、歯周病を治りにくくする働きも持っており、歯の表面を覆う上皮細胞や、傷の修復に関わる繊維芽細胞の機能が障害されることで、歯周組織の修復能力が低下するため、歯周病の治療を行っても、治療が妨げられてしまうのです。また、受動喫煙者も歯周病に影響を及ぼします。タバコの煙は粒子が非常に小さいため、タバコを吸っている人だけでなく、周囲の人にも影響を及ぼしてしまいます。

 タバコをやめると数日後には歯周組織にいい影響が現れます。禁煙から10年以上たつと、非喫煙者と同レベルにまで回復することが分かっています。



次に、歯周病予防で欠かせない歯磨きの歴史についてお話します。
歯磨きの歴史 
 人が歯磨きを始めたのは、紀元前5000年のバビロニア人だと言われています。当時は、食膳に必ず麻の繊維を指に巻き、歯の清掃をしていました。この習慣はバビロニア人からギリシア人へと受け継がれ、ギリシア人はさらにうがいと歯肉のマッサージを取り入れました。これに蜂蜜や石を粉末状にしたもの、鹿の角を粉末にしたものまでが歯磨き粉の代わりとして使用されてきました。実際に今の歯磨き粉に近くなっていったのは18世紀以降になります。日本では、奈良時代以前から現在の中国から歯磨きのような文化やそれに使用されると推測されるものが渡ってきていました。しかしこれはあくまで歯を清潔に保つための行為ではなく、仏教的な儀式習慣としてのものでした。江戸時代になると、塩や貝殻を粉末にし、それを歯磨き粉のようにして使用していました。明治以降に西洋にならった歯磨き粉が、陶器に詰められた状態で発売。現在のようなチューブ入りの歯磨き粉を利用しての歯磨きは、大正時代の終わりごろになって初めて考案されました。ちなみに徳川の第14代将軍、徳川家茂は重度の虫歯で、家茂の持っていた歯31本のうち、30本は虫歯であったとされています。


歯ブラシの歴史
 歯ブラシは、紀元前3000年ころにエジプト人が使用していた「チュースティック」と、紀元前500年ころにお釈迦様の弟子たちが口腔内の清掃に用いていた「歯木(しぼく)」がツールと言われています。この「歯木」はインド・パキスタン・サウジアラビア・アフリカ諸国・ミャンマーなどで、違う素材である場合もありますが、現在でも使われています。
 「歯木」はその後、仏教の伝来とともに538年に日本に伝わりました。当初密教の僧侶が仏前に礼拝する際に身を清め口をすすぐ儀式の一環として、歯磨き習慣が根付きました。
 「歯ブラシ」の名称が最初に使われたのは、1890年に開かれた「内国勧業博覧会」で、大阪産業会社が「歯刷子」という名称で出品した後の話です。商品名として「歯ブラシ」という言葉が登場したのは、大正3年です。今でもお馴染みのライオンが、東京歯科医学専門学校(現在の東京歯科大学)の指導のもと製造した「万歳歯刷子」が最初です。それ以降、「歯ブラシ」という言葉が使われるようになりました。



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